201601/09

危険なサプリメントの使い方と飲み合わせ

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危険なサプリメント

内閣府消費者委員会の調査によれば、消費者の約60%が利用しているというサプリメント。いわゆる健康食品に加えて、ビタミンやミネラルなどの栄養機能食品、特定保健用食品(トクホ)に加えて、この4月からは機能性表示食品制度が新たにスタートしました。

サプリメントや健康食品は私たちの生活に深く浸透しており、ヨーグルトや食用油、ガムなどのお菓子から清涼飲料水まで、もはやサプリメントであることなど意識せずに摂っている食品も少なくありません。

でもちょっと待ってください。そもそも、サプリメントや健康食品はなんらかの成分が健康に寄与することを前提としたもの。お薬ほどの効果はありませんが、身体の生理機能に働きかける目的でつくられています。

ほとんどの医薬品に副作用のリスクがあるように、サプリメントにも飲み合わせや使い方次第では副作用などの健康被害がおこる可能性があるのです。健康食品で健康を損なうなんて本末転倒ですね。氾濫するサプリメントに健康を害されないように、危険な使い方や飲み合わせについて少しでも知っておいていただきたいと思います。

サプリメントを意識しない時代に

ほんの数年前まで、サプリメントといえば栄養補給のためのビタミンやミネラル、体脂肪や血糖値に関連する生活習慣病対策のトクホ、CoQ10やαリポ酸のような美容・ダイエット系のサプリが市場をにぎわせていました。

しかし、現在トクホはヨーグルトやシリアルをはじめ、食用油、コーラや炭酸飲料にまで広がっています。また、ビタミンやミネラルを強化した食品はゼリーやグミなどの加工食品だけでなく、カイワレやみかんなど生鮮食品にまで及んでいます。

消費者庁の調査でサプリメントや健康食品を「利用している」と答えたのは全体の約60%ですが、実はサプリと意識せずに摂っている人が相当いるのではないでしょうか。今やサプリメントと一般食品の区別がつかない時代だといえます。

サプリメントと健康食品は別のもの?

サプリメントと健康食品の違いをご存知でしょうか。実は日本では両者の明確な違いはありません。アメリカでは「ダイエタリーサプリメント」と呼び、カプセルや錠剤など、明らかに通常の食品と異なる形態の栄養補助食品をサプリメントと呼びます。

しかし、日本では医薬品と食品とを区別する「食薬区分」以外に明確な規定はなく、サプリメントも健康食品もすべて食品として扱われます。トクホ(特定保健用食品)や必須ビタミン・ミネラルを区分した「栄養機能食品」も分類上は食品ですが、比較的一般食品とは区別がつきやすい商品です。

しかし最近では、栄養機能食品ではないのにビタミンやミネラルを強化した一般食品や、何気なく選んだヨーグルトのような毎日食べる食品がトクホだったりと、混然としてわかりにくい状況になってきています。

栄養機能食品一覧出典:北里大学 食品機能安全学研究室

2015年4月にスタートした機能性表示食品は、アメリカのようにサプリメントや健康食品に機能性表示を許可して消費者がわかりやすく選べるようにしよう、というのが前提だったのですが、生鮮食品にまで機能性表示が認められたため、かえってわかりにくさに拍車をかけています。

このように、消費者が意識していないにも関わらず特定の栄養素や機能性成分を摂ってしまうことに問題はないのでしょうか。

サプリメントのハイリスク群

世界で初めてビタミンが発見されたのは1910年、日本人の鈴木梅太郎博士によるものでした。このとき発見されたのがビタミンB1ですが、ビタミンの歴史はまだ100年ほどしか経っていないのです。現在、ヒトにとっての必須栄養素は脂質、糖質、たんぱく質にビタミン、ミネラルを加えた五大栄養素、ここに食物繊維を加えて6種類の栄養素が必須といわれています。

サプリメントの働き出典:ASHITAYA

しかし、必要な栄養素というのは年齢、性別、からだの大きさ、人種、住んでいる環境などによって種類も量も異なってきます。栄養素というものは適量の摂取であれば、健康維持に不可欠ですが、多くとりすぎれば健康を害す原因となります。適切な量の目安を設定するのはなかなか難しく、現在でも日本栄養・食料学会では適切な摂取量について議論が続けられています。

特にからだの小さな子どもや、代謝機能の衰えた高齢者ではふつうの成人と比べて、欠乏や過剰症が起きやすくなりますので、こうしたハイリスク群には必要以上の栄養素はかえって有害であり、サプリメントの使い方にも細心の注意が必要です。

また、サプリメントのハイリスク群は子どもと高齢者だけではなく、女性や病気の治療薬を服用している人も場合によってはサプリメントによるリスクが高まることがあるのです。

単なるビタミンが命を奪う?

1910年に最初のビタミンが発見されてから、数多くのビタミン候補が発見されてきました。ビタミンの定義は「人体にとって必要な物質」で、かつ「人体内で合成できない」微量栄養素となっています。最初に発見されたのはビタミンB1でしたが、この名前は後にビタミンCが発見されたときに名付けられたもので、以降はアルファベット順に命名されていきます。

名付けられた後で、ビタミンFはビタミンでなく必須脂肪酸として、GとHはビタミンB群の一種として取り扱われたため、ビタミンF、G、Hの名称は現在使用されていません。現在のところビタミンはA、B、C、D、E、Kまでです。

ビタミンCの真実

しかし、ビタミンKはアルファベット順ではなく、その機能性から名付けられた唯一のビタミンです。ビタミンKはコレステロールの研究中に発見された血液凝固因子で、凝結ビタミン=Koagulations Vitaminと呼ばれたためにビタミンKとなったのです。

ビタミンKは血液を凝固させるだけでなく、骨の代謝を促進したり動脈の石灰化を抑制するので、骨粗しょう症や動脈硬化の予防にも用いられます。しかし、血栓を予防するワルファリンなどの抗血液凝固薬の効果を弱めてしまうので、これらの治療薬を服用している人には禁忌となっています。

心臓病などでできた血栓が脳や肺の動脈をふさいでしまうと脳梗塞や肺塞栓を起こし、対応が遅れると死に至ることがあります。ビタミンKはクロレラや青汁などの健康食品や、納豆、海藻類にも多く含まれており、これらの食べ合わせで気づかないうちに大量摂取していますリスクが考えられます。

血液サラサラはいいことばかりじゃない

「血液サラサラ」という語感から健康によいイメージを受けますが、血液がサラサラであることは健康とイコールではありません。「血液サラサラ」が時にとても深刻な状況を引き起こすこともあります。

血液がドロドロしている様子出典:タウンズクリニック

血液がドロドロ、という状態にはいくつかの原因が考えられます。

  1. 血液中の脂質(LDLコレステロールや中性脂肪)が増えている場合。これは食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによるものです。
  2. 赤血球の柔軟性がない、変形している、などの場合。これも食事由来の脂質のバランスが悪かったり、栄養バランスの乱れによるものが大きな要因です。
  3. 血栓がはがれたあとなど、血管の内壁が傷ついてしまい、修復のために血小板がたくさん集まっている場合。血液中の脂質や糖質が多すぎると血管の内壁にへばりついて血栓の原因となります。これもまた食事や運動不足が原因です。

血液がドロドロだといずれ動脈硬化の原因となりますが、血流が停滞することでむくみや肌あれ、吹き出物なども引き起こしてしまいます。血液ドロドロは美容の大敵でもあるのです。しかし、なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとしで、血液がサラサラ、つまり血液の流動性が高まると血管の内圧が高まり、出血傾向が強くなります。この状態で出血すると凝固しにくく、大量出血につながることもあります。

もっとも危険なのは、血流を良くしたり血液を固まりにくくする医薬品と、血液サラサラのサプリメントの組み合わせですが、一般の食品にも血液の流動性を高めるものが数多く知られています。

血液をサラサラにするサプリメント、食品

クエン酸⇒酢、柑橘類、梅干し

EPA/DHA⇒イワシやサバなどの青魚

ポリフェノール⇒赤ワイン、緑茶、ウーロン茶、カカオ、そば、タマネギ、ウコン

カロテノイド⇒トマト、ニンジン、ブロッコリー、鮭

ナットウキナーゼ⇒納豆

血液をサラサラにするレシピ出典:Amazon

なかでも、タマネギに含まれるケルセチン、そばのルチン、ナットウキナーゼのサラサラ作用は強力です。ほかに、ショウガやニンニク、トウガラシなどに含まれる成分にも血流を促進する成分が含まれています。

これらの食品とイチョウ葉、CoQ10などのサプリメント、市販薬の鎮痛解熱剤などを併用すると、相互作用により思わぬ出血が起こることがあります。特に女性の場合は生理の際の経血が止まりにくくなったり、多量出血をもたらしたりすることがあります。

市販薬として日常的に使われ、非常に歴史の古い鎮痛剤・アスピリン。日本でもっとも有名なアスピリン製剤としてはバファリンがありますが、実はアスピリンには血栓を予防する働きがあり、抗血栓薬としても使用されます。アスピリンとの飲みあわせで注意が必要なサプリメントや食品には、イチョウ葉、ビタミンE、ニンニク(アリシン)などがあります。いずれもアスピリンの抗血栓作用を強めて出血しやすくなってしまいます。

このように、血液サラサラにも健康を害するリスクがあるということを覚えておきましょう。

ヨーロッパでは医薬品として扱われるハーブ

ハーブというと、日本ではハーブティーなどの香りを楽しむものというイメージがありますが、ヨーロッパやアジアの国々では医薬品として使われているものが少なくありません。私たちが生薬とか漢方薬と呼んでいる植物も、広義でとらえればハーブであり、本来ハーブは医食の区別なく用いられていました。

医療制度や医療技術の発達した日本では、薬草として植物を用いることはしなくなりましたが、本来医薬品の原料として使用され、海外では医薬品として認知されているメディカルハーブがサプリメントとして市販されています。

本来医薬品として使用されているハーブは、サプリメントといえども副作用や飲み合わせによる相互作用は一般の食品とは異なります。

イチョウ葉

イチョウ葉はドイツやオーストリアなどでは医薬品として扱われるメディカルハーブで、フラボノイドやテルペノイドという化合物を含んでいます。これらの化合物は脳の血流を増加させ、記憶や認知機能の向上に効果があるといわれています。

最近、日本でも人気のあるイチョウ葉ですが、イチョウの葉にはギンコール酸という神経毒性を持つ化合物が含まれており、ドイツでは最終製品に含まれるギンコール酸を0.005%以下になるよう除去しなければなりません。

サプリメントとして販売されている製品の中にはギンコール酸の除去が不十分な粗悪品もあります。イチョウ葉に限らずサプリメントは信頼できる製造販売元を選ぶことが大切です。

イチョウ葉エキス出典:アサヒフードアンドヘルス

セントジョーンズワート

セントジョーンズワートもドイツをはじめとするヨーロッパでは医薬品として使用されるメディカルハーブです。主に軽いうつ症状や鎮静作用に用いられます。日本でも大手サプリメントメーカーが扱うようになり、ストレスの多い現代人に人気のあるハーブです。

主成分はヒペリシンとヒペリフォリン(ハイパーフォリンともいう)ですが、この成分には肝臓で働く薬物代謝酵素の働きを増強する作用があります。この酵素の働きが増強されることによって、さまざまな医薬品の代謝が促進され治療効果が弱まることがあります。また、急にセントジョーンズワートの使用を止めると逆に医薬品の作用が強まり、副作用を引き起こすことがあります。

また、セントジョーンズワートと同じ作用を持つ抗うつ薬と同様の副作用を起こすことがあります。この抗うつ薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれ、セントジョーンズワートと併用すると深刻な副作用を引き起こす恐れがあります。

セントジョーンズワート出典:佐藤製薬

プエラリアミリフィカ

単にプエラリア、あるいはガウクルアとも呼ばれるタイ原産のマメ科の植物です。日本の葛(クズ)と近縁の植物で、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た分子構造を持つ植物エストロゲンを含んでいます。植物エストロゲンのうち、イソフラボンは大豆食品にも多く含まれ、日本人ならば日常的に摂取しているポリフェノールの一種です。

しかし、植物エストロゲンは卵胞ホルモンと同様の作用を持つため、イソフラボンなど植物エストロゲンの過剰摂取はホルモンバランスの乱れを引き起こし、乳がんや子宮がんなど婦人科の病気の原因になると考えられています。

プエラリアにはイソフラボンのほかに、もっと強力な女性ホルモン作用を持つ植物エストロゲンが含まれています。これらの化合物はミロエステロール、プエラリンなどで、イソフラボンの数十倍の女性ホルモン活性を持つという報告もあります。

プエラリアに対する感受性には個人差があり、人によっては少量でも副作用を引き起こす恐れがあります。なお、含有される植物エストロゲンの中には、これまでにあまり知られていない種類のものも含まれています。

プエラリア出典:Violux

ウコン

お酒好きの人たちに「肝臓によい」として人気の高いウコンですが、実は健康食品が引き起こす肝機能障害の原因としてもっとも多い食品のひとつでもあります。ウコンにはクルクミンというポリフェノールが含まれていますが、このクルクミンに反応しやすい人が自己免疫による肝炎を発症することがあります。すでに肝機能障害を起こしている人はウコンによる薬剤性の自己免疫肝炎に注意が必要です。

また、中国や東南アジア産のウコンにはカビによる毒素が含まれているものがあり、注意が必要です。このカビ毒はアフラトキシンという化合物で、肝細胞がんを引き起こす原因となります。肝臓によいはずのウコンによって肝臓を悪くすることのないよう気をつけたいものです。

ウコン

出典:ハウス食品

使い方次第では命の危険も(エフェドリン、シルデナフィル)

サプリメントの中で最も危険なのがアメリカや中国製のダイエットサプリに含まれているマオウ、エフェドラ、あるいはエフェドリンです。エフェドリンは中枢神経に作用する興奮剤で、気管支拡張薬として使われる医薬品です。

エフェドリンを含むサプリメントは違法薬物として取締りの対象となりますが、輸入品のダイエットサプリに成分名として表記されずに使用される例が後を絶ちません。特にカフェインとの併用で毒性が増強され、心筋梗塞や脳卒中での死亡例も多数あります。

シルデナフィルはバイアグラの商品名で知られるED治療薬ですが、強力な血管拡張作用があるため、急激な血圧低下や狭心症状の副作用があります。医師の処方箋がなければ入手できない処方薬ですが、ネット通販などでは海外の違法薬物が販売されており、厚生労働省が注意を呼びかけています。シルデナフィルを違法に使用した死亡例も後を絶ちません。

生鮮食品にも機能性表示~これからのサプリメントとは

2015年4月に食品への機能性表示が解禁となり、これまではっきりとした機能性を表示できなかったサプリメントの表記が変わりつつあります。また、加工食品だけでなく生鮮食品への機能性表示も可能になったため、すでに「クリプトキサンチンを含むので骨の健康維持に役立ちます」と表示した三ケ日みかんなどが発売されています。

今後はさまざまな食品に機能性が表示され、サプリメントと一般食品の違いが一層わかりにくくなることが予想されます。これからはほとんどの食品が健康に良い「健康食品」となり、からだに悪い食品を探す方がむずかしくなるのかもしれません。しかし、ウコンの例を引くまでもなく、いつでも誰にでも効果のあるサプリメントというものは存在しないものです。

自分の健康と安全は消費者自身が守る以外に手立てはありません。

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