
カフェやレストラン、そして自宅でも飲む機会が多くなったハーブティー。実は、数世紀以上、種類によっては3000~4000年の歴史があるのというのを、アナタは知っていましたか?
イタリア・ルネサンスの都として知られるフィレンツェの街角には、今でも13世紀から続くハーブ薬局があります。今から700年以上も前に、修道士たちが庭に薬草となるハーブを植え、そのエッセンスをとり出して人々に与えていたころからの由緒ある薬局なのです。
また、アンデルセンの童話「ニワトコおばさん」では、びしょぬれになって帰ってきた男の子にお母さんが、「ニワトコのお茶(エルダーフラワーティー)」を飲ませるシーンが、記憶に残っている人もいるかもしれません。エルダーの体を温める効果が一般的になっていたということを物語っているのではないでしょうか.
アメリカ大陸でも、定住型の先住民族が暮らすニューメキシコなどに行くと、今でも野原に咲くハーブを刈りとって乾燥させている風景に出くわすことがあり、先住民族がハーブを薬にしていたという話もうなずけます。
このように,欧米では古くからハーブを薬のように用いる伝統があり、それは今で生きています。例えて言えば、欧米版「おばあちゃんの知恵袋」的なことなのかもしれません。しかし、これらの薬効は、単なる民間療法や言い伝えとしてのみ、今に生かされているのではなく、一部の医療機関で、薬として処方されているハーブや精油もあるのです。
もちろん、肌荒れの改善も例外ではありません。普段、何気なく飲んでいるハーブティーが、その種類や組み合わせによっては、肌荒れの悩みにも効果があるとなれば、利用しない手はないですよね。
そこで、「肌荒れ改善に効果的な7種のハーブ」をご紹介します。
さらに、ハーブティーは身体に良いことは何となく知っているけど、マズくて続かなさそう・・・とご心配のアナタのために、7種のハーブを使った「おいしく飲めるブレンドハーブティー4つ」も併せてピックアップしました。美味しく飲んで、美肌になりましょう!
1 ハーブティーでもっと健康に美しく
ハーブの含有成分が美容にも良い効果をもたらすということが、日本でも知られて久しいですが、その火付け役となったのがローズヒップではないでしょうか。
ローズヒップには、ビタミンCがレモンの20倍も含まれていて、C以外のビタミンも豊富に含んでいるため、美肌効果が高いということで、多くの日本女性に注目されたのが始まり。この他にも、鉄分を始めとするミネラルを豊富に含むハーブもあり、次々と色んなハーブが活用されるようになりました。
含有成分の薬効以前にハーブの持つやさしい香り、甘い香り、さわやかな香り自体が、高ぶった神経をしずめたり、リフレッシュ効果をもたらしてくれます。この香りの持つヒーリング効果を利用して、様々な症状を緩和させる療法をアロマテラピーと呼び、ヨーロッパではれっきとした医療の一分野として確立されているほど。
ハーブティーは、体の中に'成分を直接とり入れるものなので、ハーブ選びは慎重に。買うときにも、無農薬のものやワイルド(野生・自生)のものを選ぶことをオススメします。もちろん自分で育てるときにも、農薬は用いないようにしましょう。
ハーブティーは、フレッシュのハーブを使って作るものと、ドライハープを使っていれるものとがあります。見た目の美しきはフレッシュのほうが勝っていますが、薬効を期待するなら断然ドライ。効果の差は3倍近いとも言われています。ただ、見た目のさわやかさや香りに厚みを出すために、フレッシュと併用しても楽しめます。
また、ハーブティーはいれ方もとても簡単。紅茶用のティーポットで熱湯を用いて普通にいれるだけです。
ブレンドのコツも、ハーブを楽しむための大切な要素。特にミント類やオレンジピール、カモミールなどの香りの良いもの、酸味のあるローズヒップやハイビスカスなどは、味や香りの薄いハーブやクセのあるハーブとブレンドして、飲みやすくする役割を担ってくれるので、常備しておくと良いでしょう。
初心者なら、自分の好みの味を知るために、シングルハーブをいろいろと試してみましょう。好みが分かったら、好きなハーブを中心にブレンドにチャレンジ。2~3種類をブレンドしていってください。
2 肌荒れに効くブレンドハーブティー4種
少しハーブティーのことが分かったところで、肌荒れに効果があるといわれている代表的なブレンドハーブティーをご紹介します。
1. ダンディライオン + カレンデュラ
2. カモミール + ローズ + ローズヒップ
3. ラベンダー + カモミール + カレンデュラ
4. ハイビスカス + ローズ + ローズヒップ
これら4つのブレンドハーブティーは、全部で7種のハーブの組み合わせになっているので、この4つ以外の組み合わせで自分好みにブレンドしてもOKです。
基本の7つハーブの特徴や豆知識を、順にご紹介
高い美肌効果を持つ「ビタミンの爆弾」
ローズヒップ
バラ科バラ属の果実を指すローズヒップは、「ビタミンの爆弾」と称されるほど、ビタミンを多く含むハーブで、中でもビタミンCはレモンの20~30倍とも。
かつては、原産地の一つで一あるチリの先住民によって傷の治療に利用されていたほか、古代ローマ時代の書籍にも薬としてその名が記されています。また、中国の漢方で「金桜子(きんおうし)」と呼ばれ、腎臓や泌尿器系のトラブルに服用されていたそう。
このように古くから薬として重宝されていたものの、その栄養価が世界中に広まったのは、第2次世界大戦の頃。当時、柑橘類が不足していたイギリスで、ビタミン補給のために採取したことをキッカケに、高い健康効果が知られるようになったのです。
近年は、美容に良いとして日本でも人気が高まっていて、種子から抽出された精油は、化粧品などの原料にも利用されています。また、果実もジャムやお菓子に使われることが多く、特に、ハイビスカスとブレンドしたハーブティーは、鮮やかなピンク色で見た目と味の両方が楽しめます。
歴史を超えて愛され続ける優美な花姿と上品な芳香
ローズ
日本では「バラ」として親しまれているローズ。アジアが主な原産地で、北半球の温帯地域を中心に約120種類が存在する。
紀元前1500年頃にはすでに栽培が行われ、香料や薬として利用されていました。その素晴らしい芳香と見た目の美しさは、当時から多くの人々を魅了し、古代エジプトの女王クレオパトラもローズを愛してやまなかったとか。
日本では、「万葉集」にローズと思われる記述が残されているほか、「源氏物語」や「枕草子」にも同様の記述があります。
現在は鑑賞用として栽培されることが多いですが、花弁から抽出した精油は香水の原料やアロマテラピーに、花弁を蒸留して得られる液体「ローズウォーター」は、中東やインドなどでデザートの香り付けに、乾燥した花弁はペルシャ料理などで薬味に利用されるなど、その用途は多岐に渡ります。
中でも、近年さらに大きな注目を集めているのが、その美容効果の高さで、ビタミンCやポリフェノールといった成分を多く含み、新陳代謝の促進や肌の活性化、さらには更年期障害の軽減にも効果が期待されるほど。
薄紫色の美しい花と甘く優雅な芳香が愛されるハーブの代表格
ラベンダー
ヨーロッパでは、古くからポピュラーな薬草として、消毒や虫よけに利用されていたというラベンダー。古代ローマ人が沫浴や洗濯に利用していたことから、「洗う」を意味するラテン語「ラヴァレ」に由来しています。
20世紀のフランスの科学者ルネ・モーリス・ガットフォセは、やけどを負った際、とっさにラベンダーの精油をかけて傷を回復させたことから、アロマテラピーという言葉を生み出し、本格的な研究が開始されたのが始まり。
日本で栽培が行われたのは昭和初期のこと。香水や化粧水の原料として精油を生産するために、フランスからたった5㎏の種子を輸入し、北海道で栽培が始められました。しかし、昭和40年代に入ると海外から安価な香料が次々と輸入され、ラベンダー産業は衰退。現在、栽培されているものは、ほとんどが観賞用になっています。
利用法としては、主にアロマオイルやポプリの原料となることが多く、特に香りの強い茎の部分は、精神安定や安眠に高い効果が期待できるほか、ハープティーや入浴剤、化粧品として幅広く利用されています。
クレオパトラが愛飲した美容効果満点の花
ハイビスカス
南国の花の代名詞ともされるハイビスカスは、フヨウ属の植物の総称で、約200種もの品種が存在していますが、中でも、赤い色の花を咲かせるブッソウゲ(仏桑花)は観賞用として広く知られ、日本でもなじみが深いハーブです。
古代エジプトでは、3000~4000年以上前から飲用されており、クレオパトラもハイビスカスティーを飲んで美貌を保っていたとか
食用や飲用に利用されるのは、主にアフリカ原産のロ一ゼルという種類で、非常に強い酸味を持っていますが、これに甘みを加えたハープティーは清涼飲料としてもピッタリ。ビタミンやクエン酸を多く含み、利尿作用や新陳代謝を促すため、女性にも人気の飲み物となっています。
利尿作用に優れた「おねしょのハーブ」
ダンディライオン
日本では「セイヨウタンポポ」の名前で知られるダンディライオン。環境省の要注意外来生物に指定されているなど、雑草のイメージが強いですが、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダにおいては肝臓や胆のうの不調に利用されるなど、海外では古くから薬草として用いられてきたハーブです。
葉の形が「ライオンの歯のようだ」というのが語源なのですが、フランス語で「おねしょ」という別名があるように、利尿作用が強いことで知られています。
原産地のヨーロッパでは、古くから食用として利用されていて、若葉はサラダに、花はワインに、根はコーヒーの代用品になるなど、全草が利用できる有用なハーブでもあります。
皮膚トラブルに優れた効果を発揮するハープ
カレンデュラ
「食用にできるマリーゴールド」という意味で、ポットマリーゴールドの別名を持つカレンデュラ。その名の通り、ヨーロッパでは古くからエディブル・フラワー(食用の花)として利用されてきました。
日本には17世紀中頃に渡来したとされ、仏壇や墓に備一える供花・仏花としての利用が主流のために食用のイメージはないですが、葉はサラダに、オレンジ色の花びらは米・魚料理の飾りや、菓子、チーズ、ジャムなどの着色料として利用されてきたものです。
特に、花びらには損傷を受けた皮膚や粘膜、毛細血管の修復を促すカロテンや、殺菌作用などがあるタンニン、カレンデュリンといった成分が含まれるため、昔から、吹き出物からやけどまで、皮膚の治療薬としても広く利用されています。また、中世ヨーロッパでは、カレンデュラを眺めているだけで視力が強化されると考えられていたそう。
なお、カレンデュラとは「カレンダー」の語源となったラテン語の「カレンダエ(=月の第1日の意)」に由来しますが、ハッキリとした理由は分かっていません。
心地よい眠りに誘うリンゴのような甘い香り
カモミール
白く可憐な花がリンゴのような強い芳香を持つことから、「大地のリンゴ」を意味するギリシア語、「カマイメーロン」がその名の由来に。日本には19世紀初頭にオランダから伝えられたため、オランダ語名のカーミレがなまって「カツミレ」と呼ばれています。
古代エジプトにおいては、太陽神への捧げ物や治癒の秘薬として用いられたカモミール。当時は「最高のハーブ」として称えられていました。また、ヨーロッパで最も歴史のある民間薬の1つでもあり、フランスやイギリスを始め、古くから熱病や婦人病の治療薬として利用され、現在も、その高い沈静効果から「安眠の薬」と呼ばれ、親しまれています。
さらに、その強い抗炎症作用から、化粧品などにも用いられることも。日本においても、カミツレエキス配合のスキンケアコスメは少なくありません。
乾燥ハーブティーは、アロマ・ハーブ専門店(実店舗・ネットショップ)などで手に入ります。多くのお店では、最初から目的別にブレンドしてあるものも取り扱っているので、ブレンドされているハーブの種類をチェックしながら試してみるのも良いかもしれません。
ハーブティーの美味しい入れ方
お気に入りのティーポット、ティーカップで楽しいハーブティータイムを楽しんでください。 ハーブティーというと、構えてしまう方も多いかもしれませんが、基本を押さえておけば誰でも美味しいハーブティーを入れることができます。
美味しいハーブティーの入れ方
ハーブティーというと、構えてしまう方も多いかもしれませんが、基本を押さえておけば誰でも美味しいハーブティーを入れることができます。
乾燥させたそのままの状態の茶葉(=リーフ)は、お好みの量で入れることができ、ハーブティーの濃さも調節が簡単です。リーフを使って、量を多めでリーズナブルにいれられるので、続けやすくオススメ。そんなリーフでの入れ方をご紹介しましょう。
リーフタイプのハーブティーのいれ方
用意するもの
- ドライハーブ(乾燥茶葉)
- 蓋がついているティーポット、急須など
- 茶こし(ティーポットに付属している場合は不要。できるだけ目が細かいものを。)
- お湯
使用するポットは何でもOKで、お手元にある緑茶などを入れる急須でも、十分に美味しいハーブティーを入れることができます。
ただ、ハーブティーはいれた時の色(見た目)や、ハーブにお湯を注ぐと花が開くといった動きを目で楽しむという要素も大きいので、味だけでなく雰囲気を楽しみたいなら、中がよく見える透明なガラス製ポットを使っても良いかもしれません。
ポットをお湯で温める
ティーを注ぐ前に、ポットをお湯で温めておきます。沸騰したお湯をポットに注いでしばらく放置し、室温程度にまで冷めたらポットの中のお湯を捨てます。
1. ドライハーブを入れる
ドライハーブをポットに入れます。ティーカップ(約120ml程度)1杯に対し、ティースプーン1杯~1.5杯、マグカップ(約250ml)なら山盛り2杯程度を目安。
味の好みで入れる量を適宜、増減させてもOKです。
2. お湯を注ぐ
沸騰したお湯をティーポットに注ぎます。できるだけお湯の温度は高め(95度くらい)の方が、ハーブの成分をたくさん抽出できます。ただし、香り成分が飛んでいってしまうので、煮立たせるのはNGです。
3. しばらく蒸らす
お湯を注いだ後はハーブの香りを逃さないよう 素早く蓋をして3分~4分蒸らしましょう。多少、面倒かもしれませんが、この蒸らしによってハーブに含まれている香りや味、有効成分などが抽出されるのです。
堅い部分が多いハーブが多い場合は、5分程度に蒸らし時間の調整を。ただ、蒸らし過ぎはえぐみや苦みなどが出過ぎるので注意が必要です。
出典:クーババール
ハーブティーを注ぐ
ティーポットのお湯を軽く揺らしてお茶の濃度を均一にしたら、茶漉しを使ってティーカップにハーブティーを注ぎます。ハーブは小さい茶葉もあるので、茶こしは目の細かいものがベター。(目の粗い茶こしなら、2度こすと細かい茶葉も除けます。)
ハーブに含まれる揮発性成分(アロマ)が、鼻から脳へと香りを届けられ、体の内側からもリラックス効果が得られます。飲む前に、まずはその香りを楽しんで。
ハイビスカスやローズヒップがブレンドされたハーブティーなどは、酸味がきつく感じられることもあります。飲みづらさを感じたり、また甘みが欲しい時は、ハチミツや砂糖などを加えても良いでしょう。
ハーブティーは自分で複数のハーブをブレンドすることでも様々な味や香りを楽しむことができます。慣れてきたら色々とハーブを活用して楽しんで下さい。さらに、ハーブティー専門店などでは、扱いやすいティーバッグタイプのものもあるので、ハーブティー初心者の人はそちらから試しても良いかもしれません。
ティーバッグタイプのハーブティーのいれ方
ティーバッグタイプは、自分でハーブをブレンドできませんが、ティーポット不要で、後始末も手間いらずなのが便利なところ。いれ方のコツは、基本的にリーフタイプと同じです。
用意するもの
- ティーバッグ
- ソーサー付きのティーカップなどお好みの茶器
- お湯150cc程度
ティーカップを温める
ケトルやヤカンでお湯を湧かし、ティーカップを温めておきましょう。
お湯を注いで蒸らす
温めたティーカップにティーバッグを入れ、お湯150ccを注ぎ、ソーサーなどでフタをして3分ほど蒸らしましょう。ここでも、ハーブの味や香り・成分を引き出すために、蒸らすのがポイント。(適当なフタが無い場合は、台所用ラップなどでもOK。) また、えぐみや苦みを最小限にするため、蒸らし中はティーバッグをむやみに動かさないように。
ティーバッグを取り除く
ティーバッグをカップから取り除きます。ティーバッグを入れたままにすると、えぐみや苦みが強く出ることがあるので、必ずティーバッグは取り出しましょう。
まとめ
ハーブを庭やベランダで育てている人、これを機会にこれから育てようと思う人もいるかもしれませんが、注意点もあります。
ハーブティーに用いるハーブは、種類が限定されているので、観賞用に買ってきたものや、そこら辺に生えているものではダメな可能性も大。例えば、たくさん種類があるセージの中でも、ティーによいと言われるものはたった1~2種類なのです。
ハーブ専門書を参考に、学名で種類を確認するなどして、ふさわしいものを育てるようにしましょう。また、使う部位、乾燥のさせ方にも注意を払う必要があります。