
肌荒れは、外部からの刺激によるものや、皮脂や汚れが過剰になったりすることでも起こりますが、疲れやストレス、さらに便秘などの身体面の不調によって起こることも少なくありません。
便秘や慢性的な疲労状態になると、腸内環境の悪化によって、新陳代謝や免疫機能がダウンし、肌荒れが起こるのですが、これにはヨーグルトをはじめとした発酵食品が効果的なのです。しかし、具体的なプロセスはあまり知らない人も多いのではないでしょうか。そこで、そのメカニズムを簡単にご説明します。
さらに、みんなが大好きなヨーグルトの知られざるパワーと、飽きずに食べられるアレンジレシピも、併せてご紹介しましょう。ヨーグルトで、荒れ知らずの健康美肌を手に入れてくださいね。
1 新陳代謝と免疫機能がダウンするメカニズム
健康な肌のターンオーバーへ新陳代謝)は約30~40日が1サイクル。基底層で生まれた新しい細胞が少しずつ押し上げられ、15~20日をかけて角質層へ。さらに15~20日で役割を終え、垢となって自然に剥がれ落ちていきます。
肌が荒れてしまうのは、このターンオーバーを活性させる酵素が悪玉物質AGEs(蛋白糖化反応最終生成物)に阻害されるため。古い角質細胞が厚く残ってしまう上、細胞間にあるコラーゲン繊維・エラスチン繊維も劣化して蕩つきやすくなります。
免疫機能の低下も、肌の状態を悪玉菌やウイルス、花粉、ホコリなどの異物を、片っ端から退治する「自然免疫」と、特定の異物抗原に対し、専門の兵隊=抗体を用意して撃破する「獲得免疫」の2種類があります。
皮膚の上でこれを司るのはランゲルハンス細胞。この細胞の働きが悪玉物質によって邪魔されると、免疫がうまく作動しません。肌荒れの回復ガ遅れることに。また自然免疫を担う白血球の1つ、マクロファージがAGEsを取り込みすぎると、強い炎症性の物質(サイトカイン)を放出。肌荒れを悪化させます。
2 発酵食品を献立に加えて腸から元気に
腸の健康を守り、美肌を作る発酵食
発酵食品は、腸内環境を改善することで便秘を解消する。さらに免疫機能を高める。この2点でかなり有効です。
人間の腸内には約400種・60兆もの細菌が棲息しており、悪玉菌と悪玉菌、日和見(ひよりみ)菌に分類されます。この分布が腸内環境の鍵を握っているのです
悪玉菌
代表なもの:大腸菌、ウェルシュ菌など
腸内の食物を分解し、さまざまな有害物質を産生。大腸炎や下痢、便秘を引き起こします。便秘が続けば悪玉菌はますます増殖。食欲が落ち、夜も良質な睡眠がとれません。肌細胞の代謝も低下し、糖化や酸化のダメージを受けやすくなってしまいます。
善玉菌
代表的なもの:アシドフィルス菌やビフィズス菌などの乳酸菌
悪玉菌の増殖抑制や老廃物の排泄促進、便秘改善、有用なタンパク質やビタミンの合成などに働くものです。中には腸粘膜を増殖させる短鎖(たんさ)指肪酸を作り、炎症を起こした腸の粘膜上皮を回復させる菌も存在します。
生まれたばかりの赤ちゃんのお腹の中では、善玉菌が90%を占めますが、加齢とともに減少。発酵. 食品でぜひとも挽回しましょう。特に納豆、味噌、ぬか漬け、ライスミルクなどに含まれる植物性乳酸菌は、胃酸に強く生きたまま腸に届きます。ただ腸内に長く留まることはできないので、毎日摂ることが大切です。
3 発酵食品で免疫機能を高め、アレルギー疾患も予防
腸内環境の改善が免疫機能強化につながるのは、免疫細胞の60~70 %%が腸に存在するため。「腸管免疫」と呼ばれる“基地”になっていて、病気や怪我をすれば、免疫細胞はここから出動します。
免疫細胞は、白血球のうちのリンパ球とマクロファージですが、中でも特定の異物(病原菌など)=抗原を認識し、それを撃破する抗体を作る「獲得免疫」の活性は、腸内環境に左右されます。
獲得免疫がダウンすれば、風邪など様々な感染症にかかりやすくなる上、花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患の発症にもつながります。
ヨーグルトなどに含まれる動物性乳酸菌は、この免疫機能をよくサポートするといわれ、ガンの予防効果も期待されています。
発酵食品の効能はほかにも色々。発酵の過程で食品が含むタンパク質が分解されて、消化・吸収されやすくなっており、美肌作りにはうってつけ。発酵で生まれた様々な酵素も、新陳代謝免疫機能を助けてくれます。
味噌や醤油、塩麹など麹を使った発酵食品には、精神安定と良質な睡眠をもたらすGABA、コレステロールや中性脂肪の増加を抑制し、脂肪の代謝を助けるビタミンB群などが豊富です。
4 ほぼ完全食の発酵食品 ヨーグルトのパワーを味方につけよう
しかし近年は、和食離れも進み、味噌汁や納豆、漬物などの和食を食べない日は珍しくないという人も、多くなっています。そこで、最も身近で手っ取り早い発酵食品がヨーグルトというワケです。ヨーグルトは牛乳と同じように、たんぱく質やカルシムが多,さらにビタミンB2が豊富に含まれています。鉄分、ビタミンC、食物繊維が少なめというだけで、ほぼ完全食に近い、とても優秀な食材なのです。
特に、ビタミンB2には脂質を分解してエネルギーに変える働きがありますから、不足すると肥満の原因になります、毎日ヨーグルトを摂ることで、不足を補えるというワケです。
また最新の調査によると、ヨーグルトに含まれる乳酸菌「ガセリ菌S P株」が、内臓脂肪を減らす効果があることが分かりました。内臓脂肪以外にも皮下脂肪やウエスト、ヒップなどのサイズも減少したのです。乳酸菌とビタミンB2は脂肪燃焼にも良く、ダイエット中の人にもおススメですよ。
ダイエット効果も期待できる乳酸菌
便秘解消だけでなく、内臓脂肪減少やコレステロール低下にも!
乳酸菌とは、「乳酸」を多量に作り出す菌のことですが、生乳に乳酸菌を入れれば、その働きにより、乳酸を生み出し、発酵してヨーグルトになります。この乳酸菌は、現在分かっているだけで30種類を超えていて、さらにその種類によって、内臓脂肪減少やコレステロール低下などの、体にもたらす作用が違うのだとか。
しかし、ほとんどすべての乳酸菌には便秘改善効果があるので、乳酸菌の種類にこだわらず、ヨーグルトを続けて楽しみながら食べることが、肌荒れ改善につながります。
ヨーグルトはムダのない万能調味料!
食物繊維ビタミンCをブラスしてさらにパワーアップ!
ヨーグルトには乳酸菌だけでなく、たんぱく質、ビタミンB2などが豊富に含まれていて、そのまま食べるだけで腸内環境を良くし、腸を活発にしますが、しつこい便秘には、野菜などの食物繊維が多い食材をブラスします。また、とても優秀なヨーグルトですが、ビタミンCが期待できないので、フルーツなどを加えましょう。
加熱して乳酸菌が死滅しても 善玉菌のえさになるから無駄にはならない
ヨーグルトをスープや煮込みなど加熟する料理に使うと、乳酸菌は熱に弱いので、100℃以上で熱したら数秒、60℃でも約30分で死んでしまいます。しかし、死骸は腸内の善玉菌のえさなどになり、決して無駄にはなりません。デザートなどで。0℃以下に冷凍した場合でも、休眠状態になるだけで、体内に入れば溶けて活動を始めます
料理・スイーツ・ソースなど ヨーグルトは万能調味料
ヨーグルトはそのまま食べてもおいしいですが、料理やスイーツなどに使いまわせる万能調味料です。ソースやドレッシングはもちろん、肉や魚の下味に使う、煮込みの味つけに使う、スープにする、ドリリンクにするなど、使い道は様々、しっとり、おいしく仕上がります。
飽きずに食べられる ヨーグルトアレンジレシピ3つ
ヨーグルトのアレンジスープ
かぼちゃのヨーグルトスープ
出典:COOKPAD
かぼちゃの甘みにヨーグルトの酸味が加わって、いつものカボチャスープがエスニックな味わいに。
材料(2人分)
- かぼちゃ:150g
- たまねぎ:1/4個
- バター:小さじ1
- 水:1カップ
- コンソメ(顆粒):小さじ1
- ローリエ:1枚
- ヨーグルト:1カップ
- シナモンパウダー:少々
作り方
- かぼちゃはいちょう切りにし、たまねぎは薄切りにする。
- 鍋にバターを溶かし、たまねぎをしんなりするまで炒め、かぼちゃを加え、さっと炒め、水、コンソメ、ローリエを加え、かぼちゃが柔らかくなるまで煮る。
- かぼちゃを粗くつぶし、ヨーグルトを少しづつ加えてひと煮たちさせる。
- 「3」を器に盛り、シナモンパウダーを振る。
ヨーグルトのアレンジソース
鮭のムニエル ヨーグルトタルタルソース添え
出典:COOKPAD
ヨーグルトの酸味が効いたタルタルソースをかけて、いつもとはひと味違うムニエルに。
材料(2人分)
- 生鮭:2切れ
- 塩
- こしょう:少々
- 小麦粉:適量
- オリーブオイル:大さじ1
- ヨーグルトタルタルソース:全量
作り方
- 鮭は塩・こしょうをふり、小麦粉をまぶして、オリーブオイルで両面をソテーする。
- 器に①を盛り、タルタルソースをかけ、みじん切りにしたパセリをふる。
ヨーグルトタルタルソース
材料(2人分)
- ゆで卵:1個
- ピクルス(きゅうり):小1本(30g)
- ヨーグルト:2/1カップ(しっかり水切りをする)
- ケチャップ:大さじ1/2
- 塩・こしょう:少々
作り方
- ゆで卵、ピクルスはみじん切りにする。
- ①と材料をすべて混ぜ合わせる。
ヨーグルトのアレンジデザート
フルーチェ風オレンジ味
出典:COOKPAD
ふるふるの食感がフルーチェの持ち味。ヨーグルトとオレンジの組み合わせがさわやかな風味です。
材料(4人分)
- オレンジ:大1個
- 粉ゼラチン:1袋(5g)
- ヨーグルト:150g
- 砂糖:30g
作り方
- オレンジは半分に切って、スクイーザーで果汁を絞る(約1/2カップ)。粉ゼラチンは水大さじ3(分量外)にふり入れて戻し、電子レンジで約30秒加熱して溶かす。
- ボウルにヨーグルト、①のオレンジ果汁、砂糖をよく混ぜ合わせ、溶かしたゼラチンを加えながら均一に混ぜ、冷蔵庫で冷やす。
ふるふるっと固まったら、スプーンでざっくり混ぜ、器に盛る。
まとめ
ヨーグルトは、美容・健康のために、1日1個をノルマのようにしている人もいるかもしれません。しかし、ヨーグルトはデザートだけでなく、メインディッシュやスープなどに応用できるフレキシブルな食材。
デザート的なヨーグルトに、ちょっと飽き気味というアナタも、ヨーグルトの摂り方を見直してみては?毎日無理なく続けるのが、美肌への近道になるハズですよ。