201509/08

必見解決レポート!アトピー性皮膚炎の原因解明のまとめ

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アトピー性皮膚炎に悩む

日本人のおよそ1割が悩まされているというアトピー性皮膚炎。かつては患者の2歳までに半分が治り、残りの半数が10歳までに治る子供の病気、といわれていました。しかし、最近は子供のころかかったアトピー性皮膚炎に大人になっても治らない、という患者さんが増えています。

アトピー性皮膚炎は花粉症(アレルギー性鼻炎)、気管支ぜんそくと並ぶ三大アレルギー疾患のひとつです。今や国民病と言っても過言ではないアトピー性皮膚炎ですが、なぜアトピーを発症するのか、その原因はよくわかっていませんでした。

しかし、最近になってアトピーの直接的な原因が解明され、治療への新たな道筋が見え始めてきました。実は、アトピーを引き起こしているのは皮膚上に生息する細菌で、皮膚の上から悪玉菌を駆除すればアトピーは完治することがわかったのです。

患者数の実態

アトピー性皮膚炎の全国平均有症率調査(日本アレルギー協会)

平成12~14年度に実施された厚生労働科学研究による全国規模の調査では、本症の全国平均有症率は4カ月児;12.8%、1歳半児;9.8%、3歳児;13.2%、小学1年生;11.8%、小学6年生;10.6%、大学生;8.2%できわめて深刻な結果となった。

社団法人日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎ガイドライン専門部会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン

有症率調査は専門医の直接の健診によって行われたものであり信頼性はきわめて高い。
出典:日本アレルギー協会

アトピー性皮膚炎完治前の顔

強い炎症のため、糜爛形成、首は苔癬化と痛みで可動制限を来たしていました。

矢印

アトピー性皮膚炎完治後の顔

アトピー性皮膚炎が治った顔出典:内山九段クリニック

アトピー性皮膚炎とは?

日本皮膚科学会によれば、「かゆみを伴う湿疹があり、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気で、患者の多くはアトピー素因を持つ」とされています。

アトピー素因
A)気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎などにかかったことがある。または家族に気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の患者がいる。
B)体質的に炎症物質をつくりやすい

アトピー素因を持つ人は気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎にもなりやすく、これらのアレルギーを併発しやすい体質といえます。

アトピー性皮膚炎と気管支喘息・アレルギー性鼻炎との関係

アトピー性皮膚炎は子供のころに発症することが多い病気で、アトピーにかかっている人の割合(有症率)は、4か月児12.8%、小学1年生11.8%、20歳代10.2%、30歳代9%、40歳代4.1%と30歳以下で高くなっています。

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因

アトピー性皮膚炎を悪化させるもっとも大きな要因は「かくこと」と「汗」で、汗をかくことが多くなる小学生以降に重症患者が急増しています。汗がなぜアトピーを悪化させるのかはよくわかっていませんが、汗を放置することで皮膚に住む細菌のうち、黄色ブドウ球菌などの悪玉菌が増え、掻き壊した炎症部分の傷から入り込むことで症状を悪化させることがわかっています。

生労働科学研究による「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2001」の重症度分類に従って年齢別に症状の程度(重症度)の割合を調べた表グラフです。

アトピーを悪化させる原因となる汗を除去するため、小学校で「昼休みに5分間シャワーを浴びる」ことを導入したところ、あきらかに症状が軽くなることが確認されました。
アトピー性皮膚炎は痒みの激しい疾患であり、掻くことは最大の悪化因子であるので、シャワー浴をした患児の症状を調べて良好な結果が出た。出典:日本アレルギー協会

アトピー性皮膚炎を悪化させないためには、まず汗を除去し、皮膚を清潔に保つことが大切ですが、ほかにも、皮膚の乾燥、ストレス、食べ物、ダニなどがアトピーの悪化要因として挙げられます。

皮膚の上には常在菌が住んでいる

皮膚の上には皮膚常在菌と呼ばれる100万個以上の細菌が生息しており、人の皮膚を健康に保つために働いています。これの細菌は腸内細菌叢(腸内フローラ)と同様、皮膚上に細菌叢(フローラ)を形成しています。

皮膚常在菌、口腔細菌、腸内細菌はそれぞれ独自の細菌叢を形成しバリア機能を担っています。出典:株式会社医学生物学研究所

皮膚上で特に重要な働きをしている細菌にアクネ桿菌と表皮ブドウ球菌があります。アクネ桿菌は皮膚にある皮脂腺に生息しており脂肪酸を分泌しています。表皮ブドウ球菌はこの脂肪酸を利用して弱酸性の皮脂膜でバリアをつくり皮膚を保護しているのです。

一方、皮膚表面には食中毒を起こす黄色ブドウ球菌やカンジダ症の原因となるカビなども付着しています。黄色ブドウ球菌やカビは弱アルカリ性を好みますが、表皮ブドウ球菌たちが皮脂バリアによって皮膚を弱酸性に保ち、黄色ブドウ球菌など悪玉菌の増殖を抑えているのです。

皮膚常在菌の働き

皮膚常在菌は皮膚の表面に棲んでいる、ブドウ球菌属やミクロコッカスなど空気を好む好気性の細菌と、皮脂腺や毛包に棲むアクネ桿菌など空気を嫌う嫌気性細菌、合わせて200種類以上100万個が皮膚に生息しているといわれます。

これらの常在菌に対して、短時間だけ皮膚の表面に存在する細菌があります。一過性細菌と呼ばれるこれらの細菌は、接触によって外界からもたらされますが、ほとんどの場合24時間以内に死滅します。しかし、中には短期間ながら皮膚上に棲みついて細菌叢を形成し、感染症を起こす場合があります。

皮膚常在菌と院内感染起因菌の表出典:花王 手荒れと手指衛星の科学

皮膚常在菌により正常な細菌叢が形成されていれば一過性細菌は常在菌に駆逐され、定着することはできません。常在菌が皮膚の表面にバリアを形成し、病原性細菌や異物の侵入を防いでいるからです。

さらに最近の研究で、皮膚常在菌の出すシグナルが宿主である人間の免疫システムに感知され、免疫細胞の機能を活性化することがわかりました。どうやら、皮膚常在菌による細菌叢の乱れは、人の免疫系に大きな影響を与えているらしいのです。

皮膚細菌叢とアトピー性皮膚炎

よく手が荒れる人の皮膚細菌叢を調べてみると、高い割合で黄色ブドウ球菌が検出されます。黄色ブドウ球菌は食中毒や院内感染を引き起こす原因となるので、看護師や食品関係に従事する人たちには手洗いと消毒が義務付けられています。

黄色ブドウ球菌など一過性細菌は皮膚に定着しにくいので、手洗いと消毒をしっかりすることで洗い落とすことができます。このとき、皮膚常在菌も一過性細菌と一緒に洗い流されてしまいますが、皮膚常在菌は短時間でもとに戻りますので心配はありません。しかし、手洗い後はローションやクリームで保湿し、弱酸性に保つことが大切です。

アトピー性皮膚炎の真犯人

2015年4月、慶応大学医学部皮膚科学教室と米国NIH(国立衛生研究所)の共同研究により、アトピー性皮膚炎は、ブドウ球菌やボビス菌など一過性細菌の増殖が原因でおこることが突き止められました。

研究グループの実験によれば、遺伝子操作でアトピーを発症させたマウスの皮膚を培養すると、細菌叢は黄色ブドウ球菌などの一過性細菌に支配されていました。抗菌治療によって、このマウスの皮膚から黄色ブドウ球菌を駆除すると、常在細菌叢は正常化され、皮膚炎はほぼ完治したそうです。

しかし、抗菌治療を途中で中止したマウスの細菌叢は、瞬く間に黄色ブドウ球菌に取って代わられ、激しい皮膚炎を発症しました。黄色ブドウ球菌は湿疹を悪化させ、ボビス菌はアレルギー反応を促進し、アトピー症状を悪化させるのです。

抗菌治療によって、実験用マウスの皮膚から黄色ブドウ球菌を駆除すると常在細菌叢は正常化され、皮膚炎はほぼ完治したそうです。出典:慶應義塾大学プレスリリース

皮膚の健康は細菌しだい

慶応大学などの研究により、アトピー性皮膚炎発症の直接的な原因は、常在菌の乱れによる黄色ブドウ球菌など一過性球菌によるものとわかりました。

一方、現在アトピー皮膚炎の治療にはステロイド外用剤が使用されていますが、ステロイド剤は細胞の炎症遺伝子が発現しないようにするホルモン剤です。つまり、ステロイドはあくまでも炎症を抑える薬であり、アトピーそのものを治療する薬ではないのです。

また、ステロイド剤は細胞の増殖を抑え免疫システムを不活化するので、アトピーによくない面も持ち合わせています。このため、ステロイド剤はその種類と、症状にあった薬剤の強さを見極めて慎重に使用する必要があります。

実は、慶応大学の研究結果にはもうひとつの考察があります。それは上皮発育因子(EGF)と呼ばれる酵素たんぱくの存在で、遺伝子操作によってEGFやEGF受容体(EGFR)を欠損させると、マウスはアトピー症状を引き起こします。アトピーが発症するメカニズムは細菌叢の乱れとそれに伴う一過性細菌の増殖なのですが、その背景にEGFの存在があることは明白です。

EGFはさまざまな細胞を増殖させるためのタンパク質なのですが、実は皮膚における天然の抗生物質・ディフェンシンという物質の産生にも関わっています。皮膚細菌叢の乱れとEGFの働きは相互に関連していると推察されているのです。

大切なことは常在菌をまもるスキンケア

慶応大学の研究結果がアトピー性皮膚炎の治療や予防につながることは間違いないと思いますが、実用化までにはまだまだ時間がかかりそうです。ですから、現在できる最善のアトピー対策は、まず第一に皮膚を清潔にすること、そして皮膚を保湿しつつ弱酸性に保つことなのです。

実際のところ、汗を流し皮膚を洗浄するのに、どんなボディソープがいいかとう点については諸説あります。アトピーにいいといわれる固形の石鹸は、原料の性質から最終製品はアルカリ性ですが、アトピーの患者さんからも多くの支持を集めています。

黄色ブドウ球菌などはアルカリ性を好むので、アルカリ性の石鹸がアトピーに良くないかというと、その点はあまり関係がないようです。石鹸やボディソープのアルカリ性や弱酸性は、あくまでも製品自体の性質であり、実際に皮膚がペーハーの影響を受けるわけではありません。

大切なことは自分にあったソープを選び、体を洗ったら石鹸やソープが残らないようにシャワーでよく洗い流すこと、そして洗いあがりは必ずローションやクリームなどで保湿することです。皮膚を弱酸性に保つのは洗浄剤の性質ではなく、洗った後のケアで行うべきことなのです。

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まとめ

アトピー性皮膚炎の直接原因は常在菌バランスの乱れと黄色ブドウ球菌など一過性細菌の増殖でした。黄色ブドウ球菌などに常在菌が駆逐されると、EGFの働きも悪くなり皮膚バリアが破壊されてしまいます。すると、さらなる一過性菌の増殖につながるだけでなく、皮膚から蒸発する水分量も多くなってしまいます。

アトピー性皮膚炎の患者さんはアトピーが治るととてもきれいな肌をしているといいます。もともときれいな肌を持っている方がアトピーになりやすいと言えるのかもしれません。皮膚を清潔にして常在菌による細菌叢を正常に保ち、自分本来の美しい肌を取り戻してくださいね。

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